脾臓の持つ免疫の役割【液性免疫低下と感染症】

脾臓の持つ免疫の役割【液性免疫低下と感染症】

菊池先生の臨床所見とともに脾臓について深めてみましょう。

 

ある日の臨床所見

施術での菊池先生の呟き

 

脾臓と肝臓が腫れている→免疫系に負担がかかっている

②前頭骨、ブレグマを中心にロックがかかっている→一次呼吸は極端に低下

③鎖骨が上がっていて呼吸が浅い

 

「なんで脾臓が腫れている人がこんなに多いのだろうか…?と思ったら

今流行りの夏風邪もインフルエンザと同じタイプのウイルスのようだから、処理に脾臓が疲れるのかもしれないですね。」

1日18人前後を日々見ている菊池先生なので、そのデーター量はすごい。
あと、治療家さん同士の繋がりがしっかりしておられるので、その経験と情報量は膨大。

 

脾臓の役割

 

脾臓の基本的な役割は以下です。

・脾臓は免疫系による最大の臓器

老化、変形した赤血球を破壊して取り除く

・赤血球や血小板を貯える

・脾臓内のリンパ組織でリンパ球をつくる

 

引用元:http://www.chp-kagawa.jp/department/a010/detail003.html

 

血と深く関わる臓器で、東洋医学では「脾」は血を生成する働き(生血)体から出血させない働き(統血)として存在、含まれる臓器は脾臓小腸の一部(十二指腸あたり)、膵臓です。(諸説あり)

その脾臓の持つ免疫の力がどれだけ大きいかを一つ以下を参照にみてみましょう。

 

液体免疫と感染症

 

「今回から「液性免疫低下と感染症」について説明していきます。液性免疫は獲得免疫の一つであり,B細胞や形質細胞によって産生される抗体(免疫グロブリン)が担う免疫を指します。「液性免疫低下の感染症」は4つの免疫の壁の中で,最も注意を払うべき感染症と言えます。なぜなら,数時間単位で病状が進行し,命の危険にさらされることが多いからです。

液性免疫低下を語る上で,脾臓摘出(脾摘)は切っても切り離すことができません。今回は脾摘患者における感染症を中心に見ていきましょう。

脾臓の役割とは1)

脾臓は体内で最大のリンパ器官であり,血液の濾過・貯蔵をはじめ,非常に重要な免疫機能を担っています。特に,免疫グロブリンを産生するB細胞の約半数を脾臓が有するため,まさに液性免疫の「主役」と言っても過言ではありません。

ここで少し復習をしましょう。自然免疫の一つである「バリア」をかいくぐって体内に侵入してきた微生物は,「好中球」や「マクロファージ」に貪食されます。その際,多くの微生物は補体や免疫グロブリン,また,脾臓由来のtuftsinやproperdinなどに覆われることで,より効率的に貪食されやすくなります。これをオプソニン作用と言います。ところが微生物の中にはこのオプソニン作用を受けにくいものがいます。そう,莢膜を有する微生物です。莢膜を有する微生物については,次のような覚え方がありましたね。

 

「Some Nasty Killers Have Some Capsule Protection(ひどい殺し屋の中には,莢膜による防御を持つものがいる)」

S:Streptococcus pneumoniae(肺炎球菌)

N:Neiserria meningitidis(髄膜炎菌)

K:Klebsiella pneumoniae(クレブシエラ)

H:Haemophilus influenzae(インフルエンザ桿菌)

S:Salmonella typhi(腸チフス菌)

C:Capnocytophaga canimorsus(カプノサイトファーガ・カニモルサス)/Cryptococcus neoformans(クリプトコッカス・ネオフォルマンス)

P:Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)

 

脾臓はIgMメモリーB細胞(IgM memory B cells)から自然抗体(natural antibodies)を産生することで,これらの莢膜を有する微生物を除去してくれているのです。

脾摘患者に要注意!

脾摘患者では,①脾臓由来の免疫グロブリンやtuftsin,properdinによるオプソニン作用が受けられない,②IgMメモリーB細胞から自然抗体が産生されないことにより,莢膜を有する微生物に対する免疫が著しく低下します。」

https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2017/PA03212_03

 

脾臓の液体免疫の作用、役割まとめ

 

・脾臓は免疫グロブリンを産生するB細胞の約半数を所有

・脾臓は液体免疫(生産)の主役

・体内に侵入してきたさらに強敵である莢膜(きょうまく)を持つ微生物への自然抗体を産生

これにより莢膜を持つ微生物の除去が可能に

 

※莢膜とは

一部の細菌の細胞壁の外側にある層です。

その細菌が分泌する多糖類などからできているゲル状の粘質物のこと。

白血球や貪食細胞(マクロファージ)から細菌本体を守るためのもの。

(細菌を覆っているので、英語でカプセルって言うらしい。ここがカプセルの語源か?と私)

 

写真引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenbikyo1950/26/1/26_1_10/_pdf

 

菊池先生に施術を聞いてみた

 

私(笹森)「脾臓って調べれば調べるほどとても重要ですね。でも、あまり分子栄養学などでは名前を挙げられない臓器ですね〜。鍼灸や内臓クラニアルだと、脾臓へはどんなアプローチをされるんですか?

 

菊池先生「主に内臓マニュピレーションを使いますね。

 

血液の処理場だったり、免疫司っているから、免疫系が頑張っていると、その分脾臓は大きく肥大するんですよね。

 

リンパ、血液などの体液の循環を目的として施術します。
特に脾臓は血液を司りますから、血流量を上げていきたい。

 

脾臓を直接手で触って(内臓マニュピレーション)血流を上げ、それでも取れにくいとこをは鍼で直接刺激して硬直(緊張)をとるかなあ。

 

また、脾臓が腫れたら周辺の緊張の関係で、肋骨が下垂して、左の鎖骨周りが下、左脇に引っ張られていることが多いですね。

 

なので左腹部と季肋部(キロクブ)の緊張を針や手技でとってあげます。

 

体への直接的な施術はこんな感じかな〜。」

 

私「なるほど〜。私が体調が死ぬほど悪い時も、よく『脾臓が腫れているねえ』と触ってくれていましたが、そういうことだったんですね〜」

 

菊池先生「あの時のかのっちの場合はアトピー治療過程での血液の方の影響だろうね。感染症ではなく。

 

そんで、この新型感染症の感染と予防のアレコレの影響も大きいと思うんだけど、最近はみんな脾臓がね…あれだね…お疲れで大きくなっていることが多いね。あとは普通の感染症が流行る時期にもね。僕統計ですけど。」

 

私「では今後も私の脾臓のケアを、よろしくお願いします」(メンテナンスしまくってもらう笹森)

 

菊池先生「いつでもおいで〜」

 

以上、新シリーズ
「菊池先生に聞いてみよう!」でした。

※あくまで個人の臨床に基づく所見です。

 

 

 

 

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